僕(社畜39号)が集めた本当にあった怖い話ブログ

僕が集めた本当にあったゾッとする話を書き込んでます。

♯03.病院の窓

かなり前にネットで【くねくね】って怖い話が流行ったのはご存知だろうか?

 

僕は十代の頃、

 

奇妙って投稿型の怖い話のサイトで読んで知ったのだが、その【くねくね】と言うのは…

 

祖父母が住む田舎の田んぼに、

 

くねくね動くものを見つけてしまい、

 

それを直視した兄だけがおかしくなってしまい、

 

兄もくねくねする生き物になってしまうと言う怖い話だ。

 

最初読んだ時の感想は、

 

「いやいやいや、これ嘘でしょ」

 

くらいにしか思ってなかったのだが、

 

最初のくねくね目撃投稿を皮切りに、

 

 

次々と、僕も、私も、くねくねを見たと別の目撃談も投稿されていったのだ。

 

 

更に僕の兄も、友達と釣り中に、

 

海岸の展望台辺りで、くねくねと動く謎の物体を見たと言う実体験もあったりするのだ。

 

 

そして、K県K市のある大型病院で、

 

 

 

僕はソレに似た不気味な出来事に遭遇した。

 

 
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職場から家に帰る途中、
 
左手にO病院が見える。

 


何号等の何階かは、わからないが、

 


夜中、ふいに、病院の窓を眺めると、

 


窓にぴたっと張り付いて、
 
外を眺めているような、
 
不気味な人影のようなものが見える時がある。

 


そして…
 
その人影をしばらく眺めていると、
 
決まってその人影は、

 

 

窓に、ぴたっと張り付いたまま、

 


うねうねと、手足をうねらせ、

 

 

気持ち悪い動きで、狂ったように踊り出すのだ。

 

 


異常者が入院しているのか、

 

 

幻覚なのか、幽霊なのか分からないので、

 

 

僕はある日の仕事の帰り、
 
深夜すれ違う通行人の男性に尋ねてみた。

 

 

「あの、すみません。あの窓に映ってる人って…何なんですかね?」

 

いつものように病院の窓には、

 

ぴったりと張り付き、狂ったように踊る人影が見える、

 

 

そして、僕はソイツを指差し尋ねたのだ。

 

 

通行人の男性は、僕が指差すソイツを凝視しそのまま固まってしまった。

 

 

見えてる。

 

 

彼にも間違い無く、アレは見えているようだった。

 

 

男性の顔はみるみる青ざめていき、
 
 
唇を震わしながら声を発した。

 

 

「あっ………あっ………あっ…………」

 

 

病院の窓に張り付き狂ったように踊るアレを見て、

 

動揺してしまっているのだろうと、

 

この時はまだそんな風に思っていた。

 

 

しかし、この男性は、

 

 

「あっ………あっ………あーーーーーーーっ……あーーーーーーーーーーーっ」

 

 

と、謎の奇声をあげ、更には白目を剥き始めた。

 

 

 

突然の出来事に、僕は理解が追いつかなかった、

 

 

 

 

そして……

 

 

 

病院の窓に映る人影は、いつの間にか姿を消していたのである。

 

 

 

「あーーーーーっ…………あーーーーーーーーーーーっ」

 

 

 

白目を剥きながら奇声をあげる男性。

 

 

僕は、取り敢えず彼をどうにかしなきゃと思い、

 

 

 

「あっ、あの!!大丈夫ですか!?」

 

 

 

と、声をかけながら彼の肩を揺さぶった。

 

 

 

それでも正気に戻らないので、迷った挙句、

 

 

救急車を呼ぼうと、携帯を取り出し操作した。

 

 

そして、電話を発信しようと、
 
後通話ボタンを押すだけのタイミングで、

 

 
彼の奇声が聞こえない事に気付いた。

 

 

 

「え……………」

 

 

 

いつの間にか、先程の男性の姿は無く、

 

 

 

周辺を見渡しても、何処かに走り去っていった姿も見つける事が出来なかった。

 

 

 

正直意味が分からなかった僕は、

 

 

次に、僕の横を通り過ぎようとした別の通行人に声を掛けた。

 

 

「あっ、あの………さっきまで、そこで奇声をあげてる男性って居ませんでした?」

 

 

しかし、その通行人は、知らないし、見てないの一点張り。

 

 

納得がいかなかった僕はその後も暫く、
 
 
通行人達に聞き込みを続けた。
 
 
あれだけの大声で奇声をあげていたし、
 
 
そこそに通行量が多いO病院前のこの場所なら、
 
 
誰かしら目撃者が居てもおかしくないのだが……

 

 

 

しかし、結果的に誰一人も、
 
 
先程の男性の姿を見てたものはいなかった。

 

 

更にあまりにもしつこく聴き込みをしていたせいで、僕自体が変質者扱いされそうになり、早々に退散する事にした。

 

 

 

 

 

あれから、O病院の前を通ってもあの窓に張り付くうねうねした人影を全く見なくなった。

 

 

 

 

アレはなんだったんだろうか?

 

 

 

そして、あの通行人の男性も…
 
 
なんだったんだろうか?

 

 

 

 

くねくねとかでは無いのだろうが…

 

 

でも、やっぱり、

 

 

うねうね動くあの人影は見方によっては、くねくねにも見えなくは無かったし、

 

 

ソレを見た人がおかしくなる、と言う展開も僕が体験した出来事と義類している。

 

 

でも、じゃあ何故…僕はアレを見てもおかしくならなかったんだろう?

 

 

 

そして、何故あの男性は…

 

 

おかしくなった後、存在自体が消えてしまったんだろうか?

 

 

僕は幻でも見ていたのだろうか?

♯02.裏口玄関

 

前回が子供の頃の話だったので、本当に時系列がバラバラになると思うが、

 

 

最近遭遇したばかりの、

 

めちゃくちゃ怖かった話を聞いてほしい…

 

と、言うか…誰かにシェアしないと、自分の中だけで抱え込むのは中々にキツイので、本気で吐き出させて欲し(笑)

 

 

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現在、僕は某チェーン系列の飲食店で店長をしている、

 

 

そんな僕が働く店舗も、

 

 

コロナウイルス、蔓延防止により、飲食店は20時クローズという状況になってて、

 

 

飲食店の正社員で働いた方は分かると思うが、

 

労働時間は凄く長くて、

 

早朝から深夜、ひたすら朝方まで家に帰れない事はざらにある。

 

 

そんなデスマーチ状態で働いている僕等雇われ店長にとっては、

 

この蔓延防止期間中の20時クローズが本当に有難かったりした。

 

もちろん、会社経営されてる人側を、

 

今の発言でイラッとさせてしまう事を重々承知しているのだが。

 

 

まぁー、そんな感じで、
 
前までいつも深夜に帰宅していたのを、
 
この時の僕は、遅くても夜の22時には帰宅する事が出来ていた。

 

 

20時クローズと言っても、その後の片付けは通常通りしないといけないのと、

 

19:30オーダーストップギリギリまで凄い数の来店が来るので、
 
本当に20時過ぎに業務が終わる事など無理でして、

 

それでも、会社は遅くても20時30分までには退社しろと命令が来ている為、
 
 
従業員達にはどんなに仕事が残っていても、定時に返すようにしていた。

 

残った仕事は社畜の必殺技とも言える、
サービス残業」で片付けなければならない。

 

こんな感じで、夜の8時30分以降からは店舗で一人っきりで片付けと言う状態になる。
 

 

まず、最初に変な出来事が起きたのは、9月16日。

 

その日も一人店の厨房で片付けをしていて、
 
 
後ろの食材庫に用があったので、バックヤードまで歩いていくと、
 
 
ぎょっとした……
 
 
裏口玄関の磨りガラス部分にハッキリと、
 
 
赤い服を着た女のシルエットが映し出されていた。
 
 
裏口のドアの前に突っ立っており、
 
 

 

開けてくれとドアをノックするでもなく、
 
 
 
ただただ、その場に立ち尽くしている。
 
 
あまりの出来事に、僕はその場で凍り付いていたのだが、
 
 
 
もしかしたら、誰か従業員が忘れ物をして取りに来たのかもしれないと思い、
 
 
 
内心びくびくしながらも、僕は、裏口に突っ立っている女に向けて声をかけた。
 
 
 
「誰?何か忘れ物?」
 
 
 
女から返事は無い。
 
 
 
もしかしたら、頭のおかしなお客さんかもと思ったのだが、一応それだとしても注意はしないといけないと思い、
 
 
 
僕は「何か用ですか?」と、声をかけながら裏口玄関のドアノブを回した。
 

 

「あれ…嘘でしょ……」
 

 

 

 

ドアを開けて、外を見渡すも誰の姿も無い。
 
 
あまりに人が怖いと思った時って、後頭部辺りで鳥肌が立つみたいなゾクゾクとした感覚を味わった経験はないだろうか?
 
 
まさにこの時の僕は、そんな感じだった。
 
 
 
その後、めちゃくちゃ怖かったので、
 
 
音楽を爆音で流しながらフルパワーで片付けを終わらし、制服のまま店を飛び出し、この日は帰宅した。
 
 
 
しかし、次の日9月17日に立て続けに僕は奇妙な体験をする。

 

 

 

 

この日も、僕は1人店に残って、後片付けをしていた。
 
もちろん裏口玄関、表の入り口全てに鍵をしている為、
 
店内には誰も居ないし、
 
誰も入って来れない状態なのだが……
 
厨房で、必死に作業をしていると、
 
 
真っ暗な客席を誰かが歩く姿が一瞬見えて、

 

「え…」っと、思わず声が出た。

 

自分以外は、店内に誰もいないはずなのに、確かに誰かが通り過ぎたように見えたのだ。

 

僕は客席の電気を付け、一応誰かいないか確認した。

 

しかし、店内には誰もいなかった。
 
それから二日後の9月19日に、また不可解な出来事が起きた。

 

ホール側のシンクに溜まっている皿を、ディッシュウォッシャーと言う皿洗いの機械を使い、ガシャガシャと洗っていると、

 

突然、客席に繋がる通路の所から、

 

「すみません……」

 

と、誰かに声を掛けられた。

 

「あっ、はい!?」

 

と、反射的に声の方に振り返る。

 

しかし、そこには誰もいなかったんです。

 

確かに、女の人の声が聞こえたのだ。

 

僕はその通路の方に少し顔を出し、客席を見渡す。

 

時刻は20時15分。

 

既にお客様は全員帰られて、入り口に鍵を掛けた後だから、誰も入って来れなかった筈なのだ……

 

そう…つまり、店内には厨房で作業している男性の従業員と、

 

 

ホールに居る僕しか居ない、

 

だからさっきの女性の声が聞こえる事がおかしいって事に後から気付き、背筋が寒くなった。

 

 

この日は厨房の方と一緒に、

 

鍋とフライパンで武装し、

 

一応店内を隅々まで調べてみたが、

 

やはり、誰か居た痕跡は無かった。

 

 

そんな事が、最近立て続けに起きていたのだ。
 
そして9月25日にそれは起きた。
 
この日、毎度お馴染みのように一人店舗に残って片付けをしていた。
 
すると突然、
 
「ふふふ」
 
と、女性の笑い声が店内に響いたのだ。
 
その瞬間、一気に鳥肌がたった。
 
聞き間違いとかでは無い、
 
本当に今、店に一人しか居ない状態で、
 
何故か女性の声が聞こえたのだ。
 
僕は無言のまま、急いで片付けを終わらせる。
 
一秒でも早くこの店を出たかった。
 
怖い話が好きで、怖い体験を望んでいるものの、実際一人でソレを体験すると、やはり、怖いものは怖い。
 
僕はフルパワーで片付けを終わらせ、
 
制服を着たまま、着替えのスーツを抱え、
 
店のセキリュティをセットして、
 
僕はダッシュで裏口玄関から出て、
 
ガチャンと勢い良くドアを閉める。

 

「……っ!?」
 
 
思わず、声にならない悲鳴を漏らした。

 

裏口玄関のドアの磨りガラス部分に、
 

両手押し当て

 

べったり張り付く

 

赤い服着た女が映っていた。

 

 

 

僕は立ち尽くし、暫くの間、磨りガラス越しに映る女を見つめ、身動きが取れずにいた。

 

女は顔をガラスに押し当て、

 

目をキョロキョロさせているように見えた。

 

僕はようやく、
 
この状況をどうにかしないと、とハッとなり、
 
チキン極まりないのだが、女を見つめながら震える手で携帯を操作し、
 
警備会社に連絡した。
 
警備員が来る少し前くらいに、
 
女はふっとドアから身を離し、店の奥に消えて行った。
 
本当はこの時、すぐにでも裏口玄関のドアの鍵を開けて、中に入るべきだったのかもしれないが、
 
本当にチキンが発動してて、一人じゃ怖くて、店の中に入る事が出来なかった。
 
 
結果から言うと、警備員と一緒に店内を隅々まで見渡したが、女は見つからなかった。
 
更に警備員には、

 

 

セキリュティをセットした状態で店を出ているので、
 
無人じゃないといけない店内に人がウロチョロしていたら、
 
店長さんから連絡を貰う前に私達の方に情報が送られてくる筈なんですけどね?

 

だから、やっぱり見間違いとかじゃないですか?
 
と、言われてしまった。
 
その日、帰宅してから上司に報告すると、
 
 
「あー、なら塩とか撒いときゃいいんじゃね?」
 
などと適当な事を言われ、電話を切られてしまった。
 
 
目を閉じれば、まだ裏口玄関にピタリと張り付くあの女の姿が脳裏に浮かび、背筋が凍りつく、
 
 
 
でも、何が一番怖いかと言うと、
 
 
人事異動が無い限り、
 
 
僕はこれからもここの職場で、
 
 
 
働かなければならないと言う事だ。

#01.さやちゃん

 

まず最初に、僕は怪談、オカルト、全般大好きだ。

 

 

子供の頃から身の回りで起きた怪奇現象や、人から聞いた実体験の怖い話を昔から蒐集(しゅうしゅう)してきていた。

 


しかし、僕は何でもかんでも霊現象だと、決めつけるのは好きじゃない。

 

どちらかと言えば怪異と出会した時には、愛故に霊現象否定派として考察していく癖がある。
 
なんでもかんでも、幽霊の仕業と騒ぎ立てるのも好きではないのだ。

 


現実的に様々な可能性を考え、それでもやっぱり説明が付かない時があり、

 

 

その瞬間こそ、僕はゾッと背筋が寒くなるし、

 

 

また、嬉しくもあり、

 

 

その出来事を怪奇譚として記述するのである。

 

 

 

前置きが長くなってしまったが、

 

まずはこの話から聞いて欲しい。

 

f:id:yuugurenokai:20211016045509j:imagehttps://m.youtube.com/watch?v=AOekTIMqyX8&t=1283s

 

 

 

 


これは、僕の子供の頃に実際に経験した、今思うと怖くもあり、不思議でもあり、もやっとする思い出の一つ。

 

 

 

子供の頃、隣の家には、さやちゃんと言う同年くらいの女の子がいて、僕は、その子と、大の仲良しだった。

 


僕は幼稚園から帰ってくるなり、玄関にリュックを放り投げ、近所の家に向かう。

 


さやちゃんは一人っ子プラス鍵っ子と言うやつで、親は、仕事で、ほとんど家にいなかった。

 


その為、僕がいつも、さやちゃんの家に行き、彼女の部屋で日が暮れるまで遊ぶのが日課だった。

 


さやちゃんは前髪ぱっつんに揃えた、おかっぱ頭で、いつも、「これ、おきにいりなの」と言う、花柄のワンピースを着ていた。

 


そして、さやちゃんは、僕の話にころころと良く笑い、とても愛嬌があって可愛い女の子でもあった。

 


僕達は毎日、色んな遊びをしていたが、よくしていた遊びは、おままごとだった。
 

 

「きょうもおしごとおつかれさま。もうすぐごはんできるわよ」

さやちゃんと僕が結婚してて、そんな設定でおままごとをしていた為、本当にませてたと思うけど、実際に、ハグをしたり、キスまがいの事まで、彼女にリードされてしていた気がする。

 


そんな事をしていたから、正直、今になって思うけど、多分、僕は当時、彼女の事が好きだったんだと思う。

 

 

 

そんなある日、事件が起こった。

 


この日も、僕は、幼稚園から帰ってくると、すぐにさやちゃん家に遊びに行った。
 
 
この日も、確か、さやちゃんとおままごとをやっていた気がする。

 


すると、突然、玄関のドアがガチャっと開き、乱暴な足音を鳴らして、さやちゃんのお父さんが帰ってきた。

 


僕は、この時、さやちゃんのお父さんに、

 


挨拶をしようとしたんだけど、

 


けど、さやちゃんの親は、僕を見つけるなり、瞳を見開き、凄い剣幕で、僕を怒鳴り付けてきた。

 


本当にさやちゃんのお父さんが怖くて、それからの記憶は殆ど断片的だった。

 


でも、確か…僕の両親まで呼び出されて、

 


両親共々、さやちゃんのお父さんに謝罪、

 


それでも怒りが収まらない、

 

さやちゃんのお父さん。

 


確か、警察呼ぶぞ、とかまで言われてた気がする。

 


その件をきっかけに、僕と、さやちゃんは全然会う事も無くなり、更に怒りが収まらない、さやちゃんのお父さんからのうちへの家に対する嫌がらせが始まり、それがどんどんエスカレートしていき、それが原因で僕が小学校に入学するくらいのタイミングで家は引っ越す事になった。

 


最近、あの時、どうしてさやちゃんの親に

 


あそこまで怒られてたのか?と、

 


今まで触れないでいた話題を、

 


母親にぶつけてみた。

 


すると、母は、「あんたが、隣のS田さん宅に勝手に忍び込んで、それでS田さんが不法侵入だ!とか怒って警察まで呼ぼうとしたのよ?覚えてないの?」と、言った。

 


更に、母が言うには、隣の家のS田さんは

 


独り住まいで、結婚すら、子供なんて、いなかったと言う。

 


僕は、さやちゃんって女の子が居たでしょ?と母に尋ねてみたんだけど、

 

 

母は、最後まで、そんな女の子なんていないし、見た事もない、と言った。

 


正直頭がパニック状態だった。

 

 

でも、僕はたしかに、

 


さやちゃんと遊んだ記憶がある。

 

 

 

すると、母がS田さんについて、更に有力な情報を教えてくれた。

 


母も、S田さんとの、近所仲が拗れてから知った情報だったみたいだが、S田さんは、街でも有名な変人で、

 


その、S田さんは、少女サイズのマネキンを大事にしていて、そのマネキンには、おかっぱ頭のウィッグに、花柄のワンピースをいつも着せていたらしい。

 


S田さんがマネキンに向かって話しかけている所や、マネキンを連れて公園のベンチに座っている所を街の人達が目撃していたそうだ。

 


母は「あんたがそんな人の家に上がり込んだと思うと、今思い出しても本当にゾッとするわよ。本当に、無事で良かった」と、言った。

 


そして、最後に、やはり、近所に、さやちゃんなんて女の子は居なかったし、あんたが一緒に遊んでるところなんかも、見た事がないと言われた。

 

 

僕は母のこの話を聞いてから、鳥肌が止まらなかった。

 


だってさやちゃんは、おかっぱ頭で、
 
 

いつも花柄のワンピースを着ていたのだから。

 

 

 

さやちゃんが人形だと、どうしても思えなかった僕は彼女は何者だったのか考えた。

 


彼女は全く別の家の子で、どうにかしてS田さん宅の合鍵を入手しており、自分の家のように毎日入り込んでいた可能性はどうだうか?

 


いや、でも正直、それは考えられない。そうなると、あの日、さやちゃんのお父さんだと思っていたS田さんは、どうしてあの時僕の方だけを見て怒鳴ったのだろうか?

 

 

あの時、そう、あの時、確かにS田さんは僕の隣に居たさやちゃんの方も見ていた、彼女の事を認識した上で僕だけに不法侵入だ!と怒鳴ったのだ。

 


なので、さやちゃんも他所の子と言う説や、S田さんがさやちゃんを見ていた事により、さやちゃんが僕にしか見えない幻覚のような存在、または霊と言う考え方も難しくなる。

 


正直、そう思う方が馬鹿げてるとしか思えないが、考えれば考えるほど、さやちゃんは、S田さんの家にある人形だったんじゃないかと、思えてくるのだ。

 

 

 

 

 

 

 


さやちゃんと遊んだおままごと中、その時に彼女に触れたあの感覚を覚えている、彼女の正体がもし、人形だったとしても、僕には分からない。

 

 

だって、あの時の彼女は本当に生きた人間のように、柔らかく、温かかったのだ。